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能楽トリビアTrivia

Question112 泉鏡花は能役者の家の出だった?(2012年5月28日追加)

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明治の人気作家、泉鏡花は、加賀藩お抱えの能役者(葛野流大鼓方)の娘を母として生まれ、能と深い関わりの中で育ちました。鏡花の伯父(母の次兄)は、宝生流シテ方松本家の養子となった松本金太郎で、宝生九郎知栄(ともはる)の高弟として明治期の宝生流を支えました。鏡花の作品には、江戸期の影響を強く受けた怪奇ロマン的な特徴がありますが、彼の幻想的な作風は、能も色濃く影響しているといえるでしょう。

特に、能の世界を描いた『歌行燈』(1910年発表)は、彼の代表作のひとつです。能のシテ方宗家の甥であった喜多八は、謡の名手と自称する按摩の宗山を自殺に追い込み、それにより、宗家から破門されます。一方、宗山の娘、お袖は芸者に売られ、お三重という名になります。喜多八とお三重の数奇な関わりを中心に物語は展開します。この作品のクライマックスは、破門の身の禁を破って、喜多八がお三重に能「海人(海士)」の玉の段を教え、お三重が舞う場面です。能の幽玄にも通じる鏡花独特の味わいが現れています。喜多八のモデルには、宝生九郎の高弟ながら一時破門された瀬尾要、鏡花の従兄、松本長(ながし)ほか、複数の人物が挙げられています。


イラスト:坂木浩子
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「能楽トリビア」は作成にあたってこちらの文献を参考にしています。


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