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能楽トリビアTrivia

Question105 逆輸入された能ってあるの?(2011年9月20日追加)

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ノーベル文学賞受賞者であるアイルランドの詩人、W.B.イエーツは、能の影響を色濃くうけた舞踏劇を書いています。

19世紀後半から20世紀前半を生きたイエーツは、ケルト民族の神話や伝説などをベースにした創作により、アイルランドの文芸復興に中心的役割を果たしました。神秘的、ロマン的に傾く作風から広がりのある創作力を発揮し、20世紀最高の詩人のひとりと目されています。彼は演劇にも才能を発揮し、リアリズムに傾倒したヨーロッパの風潮に容易に与せず、暗示的、象徴的な演劇の創造に手を染めていました。

1910年代の頃、イエーツの秘書をしていたエズラ・パウンドは、フェノロサの遺稿をもとに、「錦木」「砧」「羽衣」といった謡曲の英訳をロンドンで発表しはじめました。この成果にイエーツも触れ、彼はすっかり日本の能に魅せられます。そして「At the hawk’s well(鷹の井戸)」ほか4つの舞踏劇を創作しました。「鷹の井戸」は1916年、ロンドンで芸術家のパトロンとなっていたキュナード夫人の邸宅で、日本人舞踏家の伊藤道郎により、初演されています。

「鷹の井戸」はその後、日本において、能研究の巨頭である横道萬里雄により、「鷹の泉」あるいは「鷹姫」として新作能に翻案され、今なお上演され続けています。これは、広くとらえれば「逆輸入の能」と言えるでしょう。


イラスト:坂木浩子
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「能楽トリビア」は作成にあたってこちらの文献を参考にしています。


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