
  作品の成否にアドリブも関係する?(2010年3月5日追加)
囃子には譜面があり、謡にも謡本があります。そこに書き留められた異なるふたつの表現方法がひとつの舞台で同時進行するのが能の舞台です。舞台監督も演出家も指揮者もいないのに、謡と囃子が一体化するのは、互いに拍子を合わせる「拍子合」で謡い、かつ演奏しているから、というのがひとつの理由です。けれども謡と囃子が、拍子をあえて合わせない「拍子不合(ひょうしあわず)」の部分も各役の調和した表現で重要な役割をもっています。
「拍子不合」では、シテ、ツレやワキ、地謡は曲趣を十分に表現できるように序破急を意識して謡い、囃子は8拍子の基本を守りながらも手の回数を変えて演奏します。これを「見計らう」と言います。とはいえ、決して謡の速さに囃子がきっちりと合わせるわけではなく、その逆でもありません。互いの表現方法を存分に発揮するなかで、ただひとつのアドリブが生まれます。これがうまくはまると、何とも言えないような深い情趣が現れます。
イラスト:坂木浩子
「能楽トリビア」は作成にあたってこちらの文献を参考にしています。
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