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夜更けになって遊女らが舞曲を奏でつつ待っていると、山姥が異形の姿を現します。深山幽谷に日々を送る山姥の境涯を語り、仏法の深遠な哲理を説き、さらに真の山廻りの様子を表して舞ううちに、山姥の姿はいずこかへ消え、見えなくなりました。
全体的に重厚で荘重な趣がありますが、決して静かでゆったりとしているわけではありません。場面展開は結構めまぐるしく、また謡も緩急鋭く変化に富んで、大変見ごたえ、聴きごたえがありますから、うまく曲に入り込めば、息を飲む展開にぐいぐいと引き込まれます。 この曲をよくよく見ていくと、山姥とは一体何者なのだろうかという疑問がわいてきます。深い山々のどこかにいるという鬼女ですが、人々を恐怖に陥れるというよりも、どこか不思議で懐かしい。そして人間、自然、宇宙に開けた叡智の化身でもあるかのような広大な存在感があります。山姥という言葉は一般にも普及し、異様な風体の女性の形容などに使われます。しかし本物を見たという人に、ついぞ会ったことがありません。また開発や観光の手が入った現代の山々では、その住処ももはや霧消したかとも思えます。誰も知らない幽(かそ)けき異界に住む山姥の、本当の姿に出会える場は今、能舞台だけかも知れません。 ▼ 演目STORY PAPER:山姥演目ストーリーの現代語訳、あらすじ、みどころなどを、印刷・拡大表示のできるFlashPaperで公開しています。能の公演にお出かけの際は、ぜひプリントアウトしてご活用ください。プリント方法や使い方などはこちらのヘルプページへどうぞ。
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