トップページへ
SITE MAP
FEATURE
演目事典

竹生島ちくぶしま


『能之図』より「竹生嶋」
国立能楽堂提供:『能之図』より「竹生嶋」

あらすじ
延喜帝(醍醐天皇)の臣下が、竹生島の弁才天の社に詣でようと、琵琶湖にやって来ます。臣下は、湖畔で出会った老いた漁師と若い女の釣り舟に便乗し、湖に浮かぶ竹生島を目指します。湖春のうららかな景色を眺めるうちに竹生島へ着き、老人は臣下を社に案内します。連れの女も一緒に来たので、臣下は老人に、竹生島は女人禁制ではないのか、と問いかけます。するとふたりは、竹生島は女体の弁才天を祀り、女性をお隔てにならないと返し、島の由来を臣下に語り聞かせます。その後女は、自分は人間ではないと明かして社の御殿に入り、老人は湖の主であると告げ、波間へ消えていきました。

臣下が社人に宝物を見せてもらい、時を過ごしていると、御殿が鳴動し、光輝く弁才天が現れます。壮麗な天女の姿で、弁才天が夜の舞楽を奏するうちに、やがて月が湖上に澄み輝く頃を迎え、湖中より龍神が現れました。龍神は金銀珠玉を臣下に捧げ、祝福の姿を表します。そして、ある時は天女となって衆生の願いをかなえ、ある時は下界の龍神となって国土を鎮めるのだ、と衆生済度の誓いを現した後、天女は社殿に入り、龍神は湖水の波を蹴立て、龍宮のなかへ飛び入りました。

みどころ
竹生島は、琵琶湖の北に浮かぶ小さな島です。緑豊かなこの島は、古代から神域とされ、5世紀頃にはすでに神社がありました。その後、水に縁の深い弁才天が祀られ、人々の篤い信仰を集めるようになります。この竹生島を点景とする湖水の、風光明媚なさまは、山を隔てた都人からも讃えられ、親しまれてきました。能では、そんな竹生島と琵琶湖の醸す、ゆったりと穏やかな春の景色のなかで、清々しい神の物語が展開されます。

前半からテンポ良く軽やかに一曲が運ぶなか、後半に天女の舞、龍神の舞働などの見どころも配されています。あっさりとした爽やかさに包まれ、うららかな春の雰囲気を感じて、気持ちの明るくなる能のひとつです。


演目STORY PAPER:竹生島

演目ストーリーの現代語訳、あらすじ、みどころなどをPDFで公開しています。能の公演にお出かけの際は、ぜひプリントアウトしてご活用ください。

竹生島PDF見本
the能ドットコムの「竹生島」現代語訳、あらすじ、みどころは、作成にあたって主に次の文献を参照しています。書名をクリックするとリンク先で購入することができます。
『日本古典文学大系41 謡曲集 下』横道萬里雄・表章 校注 岩波書店
『能楽手帖』権藤芳一 著 駸々堂
『能への招待 I』藤城繼夫 文・亀田邦平 写真 わんや書店
『能楽ハンドブック』戸井田道三 監修・小林保治 編 三省堂

演目STORY PAPERの著作権はthe能ドットコムが保有しています。個人として使用することは問題ありませんが、プリントした演目STORY PAPERを無断で配布したり、出版することは著作権法によって禁止されています。詳しいことはクレジットおよび免責事項のページをご確認ください。


免責事項お問い合わせ運営会社
Copyright© 2024 CaliberCast, Ltd All right reserved.