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江口
国立能楽堂提供:「能舞之図」(上)能[江口]

あらすじ
都に滞在する旅僧の一行は、摂津国の天王寺に参詣(西国行脚)しようと思い立ち、旅立ちます。淀川を下った旅僧一行は、江口の里を訪れました。江口の里は、娼館が軒を連ねていた場所で、宿場の長であった江口の君は、一夜の宿を借りようとした西行法師の頼みを断ったというエピソードで有名でした。僧は、地元の人から教えてもらった彼女の旧跡を眺めつつ、感慨にふけり、西行が宿を断られたときに詠んだという「世の中を厭ふまでこそ難(かた)からめ仮の宿りを惜しむ君かな(困難な出家よりも、はるかに容易な一夜の宿さえも惜しむとは、無情なお方だ)」の歌を口ずさんでいました。すると、歌を聞きつけた一人の女が声をかけてきました。女は、江口の君の返歌を取り上げて、西行の頼みを断ったのではなく、娼館であるゆえ、出家の身を思って遠慮したのだと当時の江口の君の心情を解説しました。そのうえで僧にも、出家の身なのだから、俗世の話など気に留めないように、と言います。僧が、あなたはどういう人かと問うと、女は江口の君の幽霊だと言って消えてしまいました。

僧が、改めて地元の男に江口の君のことを聞くと、男は、かつて性空(しょうくう)上人が霊夢で江口の君が普賢菩薩の生まれ変わりだと知ったというエピソードなどを教え、江口の君を弔うよう勧めました。

夜半、僧が江口の君を弔っているところに、江口の君の亡霊が、二人の侍女の霊とともに、屋形舟に乗って現れました。絢爛豪華な舟遊びの様子を見せたのち、江口の君は、因果応報、諸行無常を説き、舞を舞います。やがて江口の君は、執着を離れれば、悟りを得ると語って、普賢菩薩の姿に変身します。また舟は白い象(普賢菩薩の乗り物)に変わり、普賢菩薩はその白象に乗って白雲とともに、西の空へ飛び立っていきました。

みどころ
江口の里は、現在の大阪市東淀川区にありました。その名は「難波江口(なにわえのくち)」から来ているといわれ、淀川と神崎川と分岐する場所に位置していました。古代から水上交通の要衝として栄え、平安時代には、熊野や高野山、四天王寺などへの参詣の人々の往来も盛んでした。江口には、都からの貴人が多く訪れ、いわゆる高級娼館があったと推測されます。貴族相手ゆえ、江口の遊女は歌などの教養もあり、また貴族の子女が落ちぶれて遊女になり、江口に流れ着くこともあったようです。

この江口で娼館の長を務めていたのが、江口の君でした。彼女には、一夜の宿をめぐって西行法師と歌をやり取りした話や、性空上人が彼女は普賢菩薩の化身だという霊夢を見て会いに来た話などさまざまなエピソードがあり、能にも巧みに取り入れられ、物語に厚みをもたらしています。

能「江口」で、特に見どころになるのが、遊女の舟遊びのシーンがある後半でしょう。侍女二人と船に乗って登場する江口の君の姿が印象的です。川に囲まれた江口の水辺で繰り広げられる、うたかたの夢のような一夜の舟遊び……その歓楽の時を表しつつ、因果応報の冷徹さや、世の無常が訴えられていきます。世俗の極みともいうべき、色事に携わる遊女でありながら、普賢菩薩の化身でもある江口の君が、俗世の艶やかさと華やかさと儚さ、そしてその奥にある真理の輝きを併せて浮き彫りにしていくところに、深い味わいがあります。優雅で美しい舞も、ただの優美さにとどまらず……余韻のなかに深遠な世界が広がるのです。

また「江口」は、仏法の奥義に触れているからでしょう、キリの謡の一部分が、追善供養の謡として、通夜、葬儀、法要などの場で、よく謡われています。


演目STORY PAPER:江口

演目ストーリーの現代語訳、あらすじ、みどころなどをPDFで公開しています。能の公演にお出かけの際は、ぜひプリントアウトしてご活用ください。

pdf江口:ストーリーPDF:578KB
江口PDF見本

the能ドットコムの「江口」現代語訳、あらすじ、みどころは、作成にあたって主に右の文献を参照しています。書名をクリックするとリンク先で購入することができます。 | 『謡曲大観(第1巻)』佐成謙太郎 著 明治書院
『日本古典文学大系40 謠曲集下』横道萬里雄・表章 校注 岩波書店
『日本古典文学全集33 謡曲集(一)』小山弘志・佐藤喜久雄・佐藤健一郎 校注・訳 小学館
『能楽手帖』権藤芳一著 駸々堂
『能楽ハンドブック』戸井田道三 監修・小林保治 編 三省堂
『能・狂言事典』西野春雄・羽田昶 編集委員 平凡社
各流謡本

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