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僧が、改めて地元の男に江口の君のことを聞くと、男は、かつて性空(しょうくう)上人が霊夢で江口の君が普賢菩薩の生まれ変わりだと知ったというエピソードなどを教え、江口の君を弔うよう勧めました。 夜半、僧が江口の君を弔っているところに、江口の君の亡霊が、二人の侍女の霊とともに、屋形舟に乗って現れました。絢爛豪華な舟遊びの様子を見せたのち、江口の君は、因果応報、諸行無常を説き、舞を舞います。やがて江口の君は、執着を離れれば、悟りを得ると語って、普賢菩薩の姿に変身します。また舟は白い象(普賢菩薩の乗り物)に変わり、普賢菩薩はその白象に乗って白雲とともに、西の空へ飛び立っていきました。
この江口で娼館の長を務めていたのが、江口の君でした。彼女には、一夜の宿をめぐって西行法師と歌をやり取りした話や、性空上人が彼女は普賢菩薩の化身だという霊夢を見て会いに来た話などさまざまなエピソードがあり、能にも巧みに取り入れられ、物語に厚みをもたらしています。 能「江口」で、特に見どころになるのが、遊女の舟遊びのシーンがある後半でしょう。侍女二人と船に乗って登場する江口の君の姿が印象的です。川に囲まれた江口の水辺で繰り広げられる、うたかたの夢のような一夜の舟遊び……その歓楽の時を表しつつ、因果応報の冷徹さや、世の無常が訴えられていきます。世俗の極みともいうべき、色事に携わる遊女でありながら、普賢菩薩の化身でもある江口の君が、俗世の艶やかさと華やかさと儚さ、そしてその奥にある真理の輝きを併せて浮き彫りにしていくところに、深い味わいがあります。優雅で美しい舞も、ただの優美さにとどまらず……余韻のなかに深遠な世界が広がるのです。 また「江口」は、仏法の奥義に触れているからでしょう、キリの謡の一部分が、追善供養の謡として、通夜、葬儀、法要などの場で、よく謡われています。 ▼ 演目STORY PAPER:江口演目ストーリーの現代語訳、あらすじ、みどころなどをPDFで公開しています。能の公演にお出かけの際は、ぜひプリントアウトしてご活用ください。
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