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一方、延喜帝の第三の御子、逆髪は、皇女に生まれながら、逆さまに生い立つ髪を持ち、狂人となって、辺地をさ迷う身となっていました。都を出て逢坂山に着いた逆髪は、藁屋よりもれ聞こえる琵琶の音を耳に止め、弟の蝉丸がいるのに気づき、声をかけます。ふたりは互いに手と手を取り、わびしい境遇を語り合うのでした。 しかし、いつまでもそうしてはいられず、逆髪は暇を告げ、ふたりは涙ながらに、お互いを思いやりながら、別れます。
出家を強いられた蝉丸が、古歌を引きながら、なじみのなかった蓑、笠、杖を手にする場面、琵琶を抱えて泣き臥し、転ぶ場面、逆髪が秋口の京の都を抜け、粟田口から東山を抜けて逢坂山に向かう道行の場面、水鏡に己の浅ましい姿を映して驚く場面、侘しい藁屋にてふたりが手と手を取り合う場面、涙に暮れながら別れる場面……。一つひとつの場面が、ヒタヒタと心に迫り、くっきりと深い印象が刻まれます。ハンディを背負うふたりの貴人が、静かに流れていく時間のなかで見せる素直な心象もまた、切なさ、やるせなさとともに、いとおしさをも感じさせてくれます。 ▼ 演目STORY PAPER:蝉丸演目ストーリーの現代語訳、あらすじ、みどころなどをPDFで公開しています。能の公演にお出かけの際は、ぜひプリントアウトしてご活用ください。
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