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僧はお参りにきた近在の里の人(所の者)から、義仲と巴の物語を聞き出し、先の女の亡者が巴だと確信を深めます。 夜になり、僧が経を読み、亡くなった人の供養をしていると、先ほどの女が武者姿で現れます。女は巴の霊であることを知らせ、主君の義仲と最期を共に出来なかった恨みが執心に残っていると訴えます。そして義仲との合戦の日々や、義仲の最期と自らの身の振り方を克明に描き、執心を弔うよう僧に願って去って行くのでした。
前半の静かな始まりと問答によるほのめかしから一転、後半は強吟、弱吟が交錯し、緩急、変化に富む素晴らしい謡が展開されます。そしてシテは決して派手に動かず、多少の立ち回りを除いては目立った舞いもなく、能らしく短く練られた所作を連ねます。そのすべてが、巴の哀しい運命と心情を切々と描き出して、彼女の色々の思いが、濃淡細かく観る者、聴く人の心に迫ります。 不思議なことに、この「巴」という曲は、もちろん心に響く度合いに違いはありますが、練達者のレベルの高い舞台、修業途上の演者の若々しい演技、あるいは素人が懸命に謡う素謡や連吟と、いつどれを見聞きしても泣けます。まして謡を習い、自分で謡えるならば、巴の哀切に身を切られないことはないでしょう。それほどの力のある曲ですから、名手の上手な能に出会う機会があったら、本当に幸せなことです。 ▼ 演目STORY PAPER:巴演目ストーリーの現代語訳、あらすじ、みどころなどをPDFで公開しています。能の公演にお出かけの際は、ぜひプリントアウトしてご活用ください。
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