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演目事典

芭蕉ばしょう


国立能楽堂提供:「能装図」能 芭蕉
国立能楽堂提供:「能装図」能 芭蕉

あらすじ
中国・楚の小水しょうすいに住む僧が、毎晩草庵で法華経を読経していると、庵室に人が近づいてくる音が聞こえます。月光に照らされて女が現れると、僧は女が何者なのかを尋ねます。女は小水に住む者で、仏縁を結ぶために訪れていると語り、草庵に入れてくれるよう僧に頼みます。一度は断った僧も、女の志の深さに感じ入って草庵に招き入れます。女は法華経の功徳や仏法の道理について語ると、「雪中の芭蕉」の故事を引き、正体を偽っていることをほのめかして姿を消します。

僧は、里人から芭蕉にまつわる故事を聞くと、先ほどの女が芭蕉の精であったと思い、夜通し読経をします。そこに芭蕉の精が現れて、芭蕉のはかない姿や無常な世を嘆きます。月が照らすなかで芭蕉の精が舞を舞ったかと思うと、芭蕉の扇が風を起こします。山風があたりの花や千草を吹き払うと、そこには芭蕉の葉が破れて残っているのでした。

みどころ
本作では、法華経の「薬草喩品」やくそうゆほんにある「心を持たない草木も成仏できる」という説を下地として、古寺を舞台としたもの寂しい雰囲気の中、芭蕉が女の姿で現れ、世の無常を語ります。

他の能にも植物の精が現れるものはありますが、若い女性でも老婆でもなく、中年の女性が登場するのは本作の特色です。花が咲くこともなく、風で破れる芭蕉のはかないイメージが、女の姿に重なっています。静かで気品の高い大小物(太鼓が入らない)の「序之舞」もみどころです。

冬には枯れてしまう芭蕉を王維が絵に描いたという「雪中の芭蕉」の故事は有名で、これを語る間狂言もききどころです。


演目STORY PAPER:芭蕉

演目ストーリーの現代語訳、あらすじ、みどころなどをPDFで公開しています。能の公演にお出かけの際は、ぜひプリントアウトしてご活用ください。

芭蕉PDF見本
the能ドットコムの「芭蕉」現代語訳、あらすじ、みどころは、作成にあたって主に次の文献を参照しています。書名をクリックするとリンク先で購入することができます。
『謡曲大観(第4巻)』佐成謙太郎 著 明治書院
『解註・謡曲全集(第2巻)』野上豊一郎 著 中央公論社
『能楽ハンドブック』戸井田道三 監修・小林保治 編 三省堂
『能・狂言事典』西野春雄・羽田昶 編集委員 平凡社
『能楽手帖』権藤芳一 著 駸々堂出版
『日本古典文学全集33 謡曲集一』小山弘志・佐藤喜久雄・佐藤健一郎 校注・訳 小学館
『新日本古典文学大系58 謡曲集①』小山弘志・佐藤健一郎 校注・訳 小学館
各流謡本

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