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旅僧は土地の者と出会い、以前にこのあたりで悪行を為した者がいないか尋ねます。土地の者は、熊坂長範のことを旅僧に教え、弔いを勧めます。 明け方近くなった頃、さきほどまで僧の姿をしていた熊坂長範の亡霊が、薙刀を手にして、旅僧の前に現われ、以前の出来事を語り始めます。熊坂は、黄金を扱う大商人・吉次信高(きちじのぶたか)がこのあたりを通った際、多くの屈強の盗賊たちと共に襲おうとしましたが、吉次に同行していた牛若(後の源義経)に返り討ちにあってしまいます。熊坂は牛若と二人きりで戦いますが、ついに牛若に刺されて命尽きてしまいます。語り終えた熊坂は、再度旅僧に弔いを頼んで消えていくのでした。
前段は都から来た旅僧と、熊坂扮する僧の二人が荒涼とした野原で対峙します。シテとワキが二人とも直面の着流し僧であり、こうした例は他に多くありません。二人の違いを敢えて抑えることにより、不気味な雰囲気が出されているとも言えます。前シテは動きが少なく、独特な雰囲気で進み、シテが誰であるかも明かされずに前段は終わります。 後段は雰囲気が様変わりします。後シテは、長霊癋見などの面をつけ、長範頭巾をかぶって大薙刀を持っており、まさしく盗賊の頭領といった装いです。熊坂は舞台を縦横無尽に動き回り、義経との奮闘ぶりが舞台いっぱいに表現されます。ひらりと舞った義経が、熊坂を切りつける最期の場面では、飛びあがって安座をするなど目を引く型が続きます。乱戦に合わせて響く囃子の太鼓も場を盛り上げます。一方で最期を迎える熊坂には、哀愁も込められています。 草庵で向き合う二人の僧の静かな前場と、熊坂が薙刀を持って舞う後場の鮮やかな対比がみどころです。 熊坂長範を扱った現在能には「烏帽子折」があり、こちらを「現在熊坂」とも呼ぶのに対して、夢幻能の本作は「幽霊熊坂」と別称されることもあります。 ▼ 演目STORY PAPER:熊坂演目ストーリーの現代語訳、あらすじ、みどころなどをPDFで公開しています。能の公演にお出かけの際は、ぜひプリントアウトしてご活用ください。
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