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近隣の里人から改めて、阿漕の最期を聞いた旅僧たち(旅人)は、法華経を読んで阿漕の跡を弔います。すると夜半に阿漕の霊が現れ、密漁の様子を見せ、さらに地獄の責め苦にあう自らの惨状を示します。行き場のない苦しみを訴えながら、阿漕は「助けてくれ、旅人よ」と言って、波の底へ入っていくのでした。
阿漕が浦は昔、伊勢神宮に供える魚のみを取るよう決められた禁漁区でした。ところが、夜中に忍んで、魚を取る漁師がいました。何度も密漁した彼の行為は露見し、捕えられ、処罰されました。古来、そのような伝説が伝わり、その伝説を下敷きに歌も詠まれ、歌をもとに能ができたと考えられています。その歌は能のなかに出てきます。 前半では、僧と漁師の会話を中心に静かに進行しますが、突然に急転して中入りし、後半は漁師の亡霊が出て、逃げ場のない恐ろしい地獄の有様を見せます。最後は「助けてくれ」と声を上げながら海に消えるという、救いのないかたちで終わり、凄惨さが心に深く刻まれます。 ワキは旅僧ですが、観世流では旅僧としてよりも、旅人として登場するのが普通です。 ところで日本語には「あこぎ」という言葉がありますが、この能でも取り上げられる伝説や和歌をもとに、昔は「度重なれば露見する」といった意味で使われていました。このことは、能の中でも触れられています。ところが後に、「あこぎ」という言葉には「無慈悲な、人情のない、ひどい」「ずうずうしく、しつこい」「浅ましく、金品をむさぼる」といった意味が加わり、現在では主に、こちらの意味で使われるようになりました。 ▼ 演目STORY PAPER:阿漕演目ストーリーの現代語訳、あらすじ、みどころなどをPDFで公開しています。能の公演にお出かけの際は、ぜひプリントアウトしてご活用ください。
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